木材の種類がいろいろあることは前回「木材の種類~無垢材、集成材、ベニヤ板、コンパネ、合板、MDF、ツーバイ材~」で説明しました。
その木材も、さかのぼれば森林に生える木々です。
輸入材と国産材があるので、世界のどこかの森か日本の森からやってきた木ということになります。
では、日本の森は今どうなっているのでしょうか。
この疑問を考えたときに思い浮かんだ次のテーマについてお話しします。
- 輸入材が増えて国産材は困窮していると聞くけど実態は?
- そもそもいつから輸入材が増えたの?
- 輸入材が増えると何が問題なの?
- 人工林はいいの?天然林が失われているとか聞いたけど…
森林や林業の現状は、実は日本に住む私たち全員に深ーく関わる重要なことだと気づかされます。

輸入材が増えて国産材は困窮していると聞くけど実態は?
日本人は昔から木と共に暮らしてきました。
木の家に住み、木の家具や道具を作りました。
燃料としても、木を炭に加工しました。
その頃は海外から木材を輸入することはほとんどなかったので、木材の自給率はほとんど100%です。
輸入材が入り始めたのは戦後。
林野庁の資料によると、1955年で自給率が約90%になっています。この時点で輸入は10%。
10年後の1965年、なんと自給率はがくっと45%まで減っています!
戦後の復興と高度成長で需要が高まり、輸入材の安さも魅力となって一気に輸入量が増えました。
輸入はどんどん進み、ついに2002年には18%近くまで国産材の利用が落ち込みました。
しかし、この危機に気が付き対策をとったことも功を奏して、2002年以降は国産材の利用も徐々に回復しています。
1999年でようやく約33%まで伸びています。
輸入材が増えると何が問題なの?
もちろん国産材が高くて売れにくくなっているということは分かります。
ただ、一方でこんなふうに思うかもしれません。
「遠い国からタンカーで運んできた木材のほうが安いのは疑問だけど、日本の森の木のほうが値段が高いなら仕方ない」
いえいえ。
実は、日本の森の木を使わないことは、信じられないほど大きな危機をもたらします。
輸入材が増えることが問題というより、国内材を使用することで森林をおろそかにしないことが大切と考えます。
国産材を買わない・使わないということは、日本の林業が成り立たないことを意味します。手入れされなくなった山は荒れます。
山は、木が生えて、動物が住んでるだけの場所ではないのです。
・野生生物の住処になる。動物に食べ物も供給している。
・二酸化炭素を吸収してくれる。
・木や草が生えることで、土壌の流出を防いでいる。
・雨の水を貯えて、ゆっくり流すことで災害を予防している。
・ゆっくり流す過程でミネラル豊富な美味しい水を作っている。
二酸化炭素を吸収してくれるという森の効果はよく聞くところですが、成長した木よりも若い木のほうがたくさんの二酸化炭素を吸収します。
またきちんと手入れされることで、うっそうとした暗い森ではなく、地面にまで光が届き草が生える森になります。
地面がむき出しでは、木があっても土が流れてしまいます。
健全な山では多くの水を貯えることができ「緑のダム」ともいわれます。
山の土砂崩れもありますから、森林の治水効果も万能ではありません。
しかし、昔から言われる通り「山が守ってくれている」という考え方はまさに的を得ています。

人工林はいいの?天然林が失われているとか聞いたけど…
大まかにいって、人工林とは、木材を作るために人が育てた森林です。
天然林は、人の手が全く入っていないか、人による手入れが長い期間行われていない森林です。
日本の森林面積は2500万haで、この面積は過去50年間大きく変わていないようです。
そのうちの1020万haつまり4割が人工林です。
日本の国土面積は3779万haなので、約6割が森林ということになります。
天然林の割合は約40年横ばい状態で1340万ha前後。
人工林は1986年から(約35年間)1020万ha前後を保っています。
どうやら森林伐採がどんどん進んでいる状態ではないようです。
ただし国内の木材が十分活用されていないこともデータから見えてきます。
森林蓄積の状況というデータで、その量が右肩上がりに増えています。
人工林はいわば木の畑です。
植林し使いごろになった木が、十分活用されていない現状がわかります。
天然林がどんどん人工林に変わってしまうことには別の問題もありますが、人工林は木材に需要があれば、伐採しても植林され循環します。
放置されることが最大の問題と言えます。
いかがでしたか?
この記事をまとめるにあたり、正直いって新たに知ったことがたくさんありました。
森林と木材と自分たちの住む環境をどう守っていくかを考えることが大切ですね。



いかがでしたか?
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